裸の付き合い
実家に住んでいたころには時間をみつけては近所の銭湯に良く通っていました。聞くところによると昭和の初めころは銭湯の数が一番多く、戦後の高度成長に伴って内風呂が増え、少しずつ客数も減り、現在は松山市内に銭湯といわれるものは30弱に減少しているようです。
銭湯の名前は「水晶湯」。
営業時間は14:00~22:00。
番頭の主人は夜になると酔っぱらってます。ので牛乳飲み放題です。(嘘)
場所は松山市柳井町。繁華街から一番近いと思います。
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私が好んでいく理由の一つに「水晶湯」の温度にあります。
サウナは3人しか入れない小さなもので5分の砂時計があります。
中は薄暗く、砂時計は殆ど見えずあまり意味をなしていません。
さて、温度ですが中の温度計を見てみるをなんと110度。
おそらく、松山市のサウナの中で一番熱いとおもいます。
[ 水晶湯」の温度でなれてしまうと他のサウナが生ぬるく感じます。
最初は我慢して15分入ります。あとは、10分を2、3回。
殆ど修行です。
他のお客さんと無言の我慢比べも始まります。
サウナでの勝者は「水晶湯」では羨望の眼差しが惜しみなく注がれます。
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私は全戦全勝です。
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サウナと水風呂を繰り返します。
水風呂の温度も半端ないです。心してはいらないと心臓止まります。
水の温度も松山一です。3分ぐらい入ると手足が痺れてきます。
「兄ちゃん。水風呂、冷たいやろ―。わしゃ、年寄りやけん、あぶのうて(危なくて)入れんわい。」
お年寄りの方は水風呂の危険性を経験上察しているらしく水風呂には近づきません。
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風呂に入ってサッパリするのも楽しみですが、もうひとつの楽しみが会話です。
場所柄、地元に住んでいる人は勿論のこと、商店街で商売している職人さんや仕事の終わったサラリーマン、これから仕事の飲み屋の人、仕事不明の体に落書きしている人など様々です。
それらの人の話を聞いたり、話したりすると色々おもしろいです。
「○○の鮨屋は大将が息子に代替わりしてから味が落ちた」←商店街の御隠居。
「○○ラーメンのかくし味は、特別な醤油を入れている」←居酒屋の大将。
「今度できる○○スーパーのテナントには有名なブランドショップが入る」←繁華街の店主。
「○○会社は、○○会社の買収を狙っている」←広告代理店のサラリーマン。
「●●会の●●組は●●●して、今は●●●●」←落書き。(ブラック過ぎて書けませんが…)
など、役立つ情報から超ローカルネタまで様々で面白いです。
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銭湯は人が裸で利用するするところだけに、衛生面でも人間関係の面でも社会的モラルが必要になります。
それゆえに、公衆道徳・社会教育を学ぶには最適の場所だと思います。
まだまだいます。昔ながらの雷オヤジ。
まだまだあります。義理人情。
「兄ちゃん。水風呂、冷たいやろ―。・・・・・」のお年寄り、毎回私の顔を見つけては声をかけてくれます。
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毎回、同じ言葉で同じ時間に。これは挨拶でもあり、最近の調子はどう?元気か?って感じで暖かいです。
今度行った時は、お年寄りを水風呂に誘って、心臓を元気にしてあげようと思います。